レッドデータブックとは

環境への関心の高まりとともに、よく耳にするようになったレッドデータブック。これは絶滅の恐れのある野生生物の種をリストアップし、その生息状況を解説した資料のことです。国際自然保護連合(IUCN)が1966年(昭和41年)に、絶滅の恐れのある野生動物のリストを刊行し、その後世界各国で国内版のレッドデータブックが作られています。日本では、環境省によって1991年(平成3年)に動物版のレッドデータブックが作られたのを最初に、動物版・植物版に分かれて刊行されています。また、各都道府県でのレッドデータブック作成も盛んで、全国版では把握できない各生物種の分布の詳細、地域型の有無、絶滅の恐れのある種の地域での生存状況、地域の生態系の保存状況など「種の多様性保全」のための基礎資料として活用されています。

「レッドリスト」という言葉がありますが、これは、「レッドデータブック」が生息状況やその他の情報なども加えて本としてまとめたものに対し、生物種のリストの部分だけを抜き出したものや、本としてまとまっていなくとも、リストとして公開されているものに対して用いられます。

環境省のレッドデータブック・リストについてはこちらをご覧ください。


環境省レッドリストのカテゴリーと定義

環境省のレッドリストのカテゴリーはIUCNのカテゴリーに準じていますが、日本では評価できるデータが得られない種も多いことから、独自にカテゴリーを策定しています。汽水魚類、淡水魚類のカテゴリーは次のようになります。

環境省レッドリストのカテゴリーと定義

●絶滅危惧ⅠA類はごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもので、IUCNのカテゴリーの最高ランク、CRに相当します。絶滅危惧ⅠB類はⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもので、イトウはこのカテゴリーに入ります。絶滅危惧ⅠB類にはイトウのほかに、琵琶湖のニゴロブナ、ゲンゴロウブナなどが入ります。

国際自然保護連合(IUCN) (International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)


IUCNは1948年に創設された、スイスのグランに本部をおく国際的な自然保護団体。自然保護にかかわる国家会員、環境省などの政府機関、民間団体が会員になり、およそ181カ国の科学者約10,000人からなるボランティアネットワークの協力のもとに活動しています。

人間が生活に必要な自然・生物の豊かさを守り、自然資源がいつまでも絶えることのなく、公平に上手に利用していくよう、社会に働きかける事を目的としています。

活動としては、絶滅の恐れのある生物をまとめたレッドデータブックを作成して保護を訴えたり、ラムサール条約やワシントン条約など自然を守るための国際条約つくりを進めたりしています。

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