カルバート調査

 猿払川にイトウが安定して生息している理由のひとつに、他の河川に比べ、堰堤などの河川を横断する構造物が少ないことがあげられます。川の下流や河口付近、さらには沿岸で成長し、産卵のために上流に移動、産卵後はまた下流に移動するイトウにとって、川がダムや堰堤などによって分断されることは致命的なこと。イトウは移動することができなくなり、産卵できず、やがてその川から姿を消すことになります。猿払川流域にダムがないこと、また堰堤も数が限られていることが、イトウの再生産を保証しているといえるでしょう。

しかし一方では、猿払川にも他の河川と同じように、数多くのカルバートが設置されています。カルバートはダムや堰堤ほど規模は大きくありませんが、イトウをはじめとする回遊魚の遡上を妨げる障害物となることが知られています。カルバートとその下流の水位差や、カルバート内の激しい水流によって、産卵期にイトウが遡上できないケースが報告されています。

そのため猿払イトウ保全協議会では、環境保全区内のカルバートの設置状況や、カルバート上流側でのイトウの産卵状況を調査。イトウに対するカルバートの影響を評価するための基礎資料とします。調査後は、結果の集計とその解析結果を猿払イトウ保全協議会の活動実績として報告します。また調査を通じて明らかとなった問題点については対策を講じ、その対策についても追跡調査を行い、効果を検証します。

■カルバートとは

用水や排水のための水路が、道路や堤防などの下に埋設されたもの。カルバート下流の落ち込みの水深が深くないとイトウは遡上できず、またカルバート内や上流出口付近に流木などの障害物がある場合も遡上できなくなります。

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